白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
ハルは一周首を回し終わり、あたしを見つけるとすぐにあたしの隣に来た。
そんなハルが、たまに飼い主に懐く子犬に見えることがあって頭を撫でたくなるんだ。
だから、ハルのフワフワの茶髪をポンポンと撫でてあげた。
「……おい。何すんだよ」
「あ、いや。身長が伸びるおまじない?」
ギロリとあたしを睨むハルに、フフンっと笑いながら答える。
「疑問形の時点で絶対効かねぇだろ、そのおまじない」
「失礼な! ちゃんと効くよ! 今ので170にはなってるかも!」
「は~!? 俺元々170あるんですねけどぉ!!」
あたしの冗談にムキになるハルが、顎を突き出して必死に反論。
そして、あたしのわき腹をくすぐってきた。
「うわっ!! ハハハハハッ!! ちょ!! やめて!!」
わき腹の弱いあたしが廊下を歩きながらよろけると、ハルは勝ち誇ったように廊下の真ん中で仁王立ちをする。
2,3歩よろめいて振り返ると、体育館に向かう生徒達がみんなハルを迷惑そうに避けていた。