白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
走ったおかげで体は少し温まったけど、頬を触ると、氷のように冷たいままだった。
倒れ込むようにして、屋根の着いた小さな小屋のバス停のベンチに座りこんだ。
古賀くんはベンチの背もたれに体重をかけ、荒々しい息を整える為に小屋の天井を見上げる。
あたしもベンチに座って項垂れ、呼吸を整えた。
『苦しっ……』
古賀くんは、息を飲み込みながら言い、肩に提げる学校指定のカバンをベンチに下ろした。
あたしも真似をしてベンチに下ろすと、古賀くんと目が合ってふたりでクスクス笑う。
『急に雨って、最悪だよな』
『ほんっと。今日雨とか聞いてないよね』
言いながら、またふたりでハハハっと笑った。
走ってる時は体力的に苦しかったけど、走りきった今は少し気分がいい。
運動って言える程じゃないけど、走った後はなんでか体が少し軽くなったような気がするんだ。
あたし達が小屋に入ると、雨は今まで降っていたことが嘘だったかのようにピタリとやんだ。