白い恋の結晶~キミへと続く足あと~
内心は『またか、コイツ』と呆れているかもしれないけれど、何も言わずに一緒にあの木を見上げてくれる。
彼は、本当に優しい人だと思う。
「そんなことよりさ、もう見た? クラス発表」
あたしがマキに言うと、マキはううんと首を横に振った。
マキのショートカットのサラサラの黒髪が左右に揺れる。
「こういうのは一緒に見なきゃ。ひとりで見たって、何も反応できないじゃん」
マキが眉を垂らして笑う。
あたし達が到着した時間が少し遅かったので、掲示板の前は空いていた。
おかげで、身長の低いあたしは背伸びをせずに掲示板を見ることができた。
1組から順に見て行ったけど、3人の名前はない。
人差し指でずっと名前を辿りながら見ていくと……。
「あ……」
3人の指がピタリと止まり、そして声まで重なった。