LOVEPAIN
「――当り前じゃないですか。
私だって人間なんだから……」
当たり前のように、
本当の私はただの人間だった
今迄の私は人間じゃなく、
感情を偽った人形のようだった
ずっと、周囲の人々の都合の良いように
自分を作って生きてきた
これからは、
誰かの顔色ばかり窺うような生き方はしない
「――私は親友や彼氏だと思ってた男に、
死にたいくらいに傷付けられました。
全員、あの学校で…。
今日、彼女達を困らせた事によって、
本当に報われました…。
今迄の私ならば泣き寝入りしてたけど、
でも、もう……」
「まぁ、今日みたいな事はこれっきりにしておけ。
やられたからやり返してって、
凄く幼稚。
お前に触発された俺も
どうかしてたけど」
成瀬のその口調は言葉とは違い、
先程の自分の行動を後悔しているのか、
そうじゃないのかよく分からない
後部座席から見える助手席の窓に映る成瀬の表情は、
幾分かは私のようにすっきりとしているように
見えるけど