LOVEPAIN
「――いらない。
何もいらない」
本当に、何もいらない
「いらないってお前、
着替えとかするだろ?
まさか、
着替えないつもりかよっ!」
篤は怒ってはいないが、
咎めるような口調
「いらないって言ってるでしょ!
本当に何もいらないの…。
何も持って行きたくない」
感情が高ぶっているからか、
声が荒くなってしまう
「分かった。
じゃ、行こうか。
篤、もういいだろ?」
成瀬は諭すように、
篤の肩を叩く
「――はい」
篤は困惑したように、
私に目を向けていた
何もかも捨てる――
今までのものは
全部いらない――