LOVEPAIN
「はじめまして。
阿倍です」
さっき成瀬に声を掛けていた阿倍さんは、
立ち上がり私に頭を下げてくれた
とても、感じがいい
「俺は、松田」
社会人らしからぬ茶髪で見るからに遊んでそうな風貌の彼は、
電話を耳と肩で挟みながらこちらに挨拶をした
耳にジャラジャラ有るピアスが受話器に当たって、
邪魔そう
落ち着いた感じの人ではないが、
成瀬より歳が少し上に見えるから20代後半くらいかな?
「――はっきり言って俺のタイプじゃないけど、
まぁ、アリかな。
竜です。よろしく」
苗字ではなくて下の名前を名乗ったこの人は、
世間一般的なオタクのイメージにピッタリと合う感じの人
小太りで髪の毛もぼさぼさで、
一応スーツを着ているがふしだらな印象を受けた
デスクから立ち上がり、
私に近付いて値踏みするように見て来る