LOVEPAIN
「あっ、あれ、鈴木さん?」
コピーでもしに行くのか、
何かの書類を持って通り掛かった阿倍さん
「あっ、はい」
何かを期待するように、
私は照れながらも会釈をしてしまう
誉められたい、
と言う欲求
「うわぁ、凄く可愛くなったね。
髪型も化粧もよく似合っているよ」
阿倍さんのその言葉でますます私は調子に乗り、
いえいえ、と
笑ってしまう
「――リカちゃん人形みたい」
阿倍さんの口からその言葉が出た瞬間、
体が凍りつくような
感覚を覚えた
阿倍さんはニコニコとしながら、
そんな私の前を
通りすぎた
それと代わるように、
竜がトイレに行くのか
こちらの近くを歩いて来る
さっきは散々言われたけど、
今の私ならば、と思い、
竜を見詰めてみた