LOVEPAIN
「だから、君にはなびかないって言ってるだろ!!」
そう怒られてしまう
やはり、私が変わっても
彼は私にはなびかないらしい
「広子ちゃん、
好きな人とか彼氏とかいないの?」
実樹子さんにそう訊かれ、
一瞬涼太の顔が浮かんだけど、
私は首を横に振った
「――いない、ですよ」
今も涼太を思い出すと胸が痛むけど、
それは恋しいとか言う感情じゃなくて、
ほっとする
悔しいような気持ち
「そう?残念。
今の広子ちゃんなら
男なんて百発百中なのにぃ」
そう悔しがる実樹子さんに笑い返すが、
どうしてもその笑いが
渇いてしまう
もし、今の私ならば涼太は私に本気になってくれただろうか……
涼太だけじゃなく、
満里奈や美鈴だって私と本当に仲良くしてくれただろうか……
彼や、彼女達の存在が、
私の自信を奪って行く
今、こんなにもちやほやとして貰えても、
あんな風に蔑まれた過去は消えない
足枷のように、
自分にまとわりついてくる