LOVEPAIN
「うちの事務所にも、
企画単体の子が何人か居るわよね」
実樹子さんは指折りその人数を数えているが
片手で足りている所を見ると、
それ程沢山居る訳ではないのだと思った
「企画は、その女優では販売を見込めない無名のAV女優。
パッケージや本編に名前が出る事も、殆どない。
AVには色んな内容の物も有って、
レイプやSM、女子高生、OL……。
そう言った女優の名前なんて必要としない作品が多数有り、
そんな作品に出る。
ギャラは企画単体と同じ日当で、それよりも安価。
本業ではなく、
バイトでやっている子が多い」
成瀬のその説明に頷いてはみるものの、
この世界は思っているよりもシビアなのだと、
少し怖くなる
そのAV女優の
ヒエラルキー
「そんな感じで、
単体の子が売れてテレビで活躍するようになったり、
企画から企画単体になった例は稀に有るけど、
この世界は下克上ではない。
上がる事よりも、
なるべく落ちない事を考えろ」
そう言った成瀬の目が少し怖くて、
体がビクッと震えた