LOVEPAIN
「お前は、何か有るか?」
「私は、別にないですけど……」
沈黙になりそうな時にちょうど信号が青に変わり、
成瀬は私から視線を外した
「あっ、あの、この車、何て言う名前なんですか?」
「車になんか、
名前なんて付けないし」
「違います!
その、種類って言うか、その…」
「車種だろ?分かってるよ。
冗談だし。
アルファロメオって分かるか?」
「いえ。分からないです……」
私は車なんて乗らないから、
訊いて答えて貰った所で殆ど分からない
元々、よく知っている車種ならば訊く迄も無いし
ならば、なんで訊いてしまったのだろ?
「あっそ」
そう言ってハンドルを右に切る左手首の腕時計が、
目に入った