LOVEPAIN


「さっさと来いよ」


そう促され、私はエレベーターを降りると、

ドアを開いたままの成瀬の横をすり抜けて中に入る



その瞬間、シャンプーか何かのいい匂いがした


そう思って見上げてみると、
彼の髪がほんのりと湿っていて、

普段の二割増し色っぽい




「おじゃまします」


私は玄関で
新品のスニーカーを脱ぎ、

部屋の中へと入る




「どうぞ」


背後でそう聞こえたと同時に、
ドアが閉まる音が聞こえた



ガチャリ、と鍵を閉める音も、
鮮明に聞こえた




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