LOVEPAIN


「俺が高校卒業してすぐに、母親は結婚したんだ。

それと同時に、俺は家を出た。

その結婚相手は冴えない奴なんだけど、
すげーいいおっさんで、
今はなっちゃん幸せそうに暮らしてる」



「そうなんですか?
それは良かったです」



良かった、って伝えたけど、
成瀬の顔は本当に幸せになった母親を祝福しているけど、
どこか淋しそうで、

思わず、抱きしめたくなった




「――認知してくれていて、
時々金くれる俺の父親は、
嫌いだけど。

ま、語る程の嫌いな理由もないんだけどな」


そう言って、成瀬は瓶に残っていたワインを飲み干した



その瓶を地面に置く音が、

小さく響いた



本当に、語る程の理由がないのだろうか?




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