LOVEPAIN



22時前くらいに、
成瀬は連絡もせずにそのまま私の部屋へとやって来た



成瀬が来るのを首を長くして待っていたからか、

部屋のチャイムが鳴った時には
気分が悪いから寝ていたにも関わらず、

その寝ているベッドから慌てて飛び起きた



玄関迄走るが、
少しふらふらとする






「お前、顔色悪くないか?」


成瀬はそのDVDプレーヤーの上に
10本くらいのDVDを乗せて、

不安定そうに両手で持っている



成瀬を部屋の奥に通しながら、
それを見兼ねてそのDVDを手に取る




「悪いな。

それより、やっぱり気分とか悪いか?」



「――はい。けっこう」



心配させたら悪いな、
と思いながらも、

成瀬に甘えたくて
大袈裟に口にしてしまう



今も心配そうに私の顔を見る成瀬に、
愛しさを感じる




成瀬はサッと、そのプレーヤーの配線を済ませ、

近くで座ってその作業を見ていた私に近付いて来る




「少し熱いな?」


私の額を触りそう言うが、
熱いのは風呂上がりなのもあるかもしれないと、
思ってしまう




「――なんか、駄目です」


そう言って、
この体を預けるように成瀬の胸に顔を埋めた



自然とこんな事が出来てしまった自分を、
あざとく感じてしまう



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