LOVEPAIN
「――大丈夫か?」
戸惑いながらも、
成瀬はそんな私を両手で抱き締めてくれた
成瀬の心臓の打つ音を聞きながら、
私よりも緊張しているんだ、と感じてしまう
「成瀬さん。
私、あなたが本当に好きです」
もう少し、成瀬の心音を聞いていたいけどそっと顔を離すと、
少し戸惑っている成瀬に顔を近付け、
その唇を奪う
夕べ重ねた時よりも、
その成瀬の唇が柔らかく感じた
自分がこれ程積極的な事に驚いてしまう
私って、欲しい物を手に入れる事に、
どんな手を使ってもこの手にしたいくらいに、
貪欲なんだな……
そんな私の体を、
優しくゆっくりだけど
強い力で引き離される
「――悪い」
そう成瀬の口から溢れて、
今度は私が戸惑ってしまう
「成瀬…さん…」
「終わりにしないか?
俺達の関係って始まってんのか分からないけど、
もうこんな事辞めないか?」
「――どう…して…ですか?」
成瀬の言っている言葉の意味を少しずつ理解しながら、
そう訊き返すしか出来ない
「俺、お前の事が好きだからかもしれない」
「だったら、なんで」
そう言った私の言葉を遮るように、
成瀬は口を開く
好きだと言われたのに、
嬉しいとか感じる余裕さえ今の私にはなくて、
成瀬のその言葉の続きを聞くのが怖い