君としてるのは恋じゃなくて。
「遥!」
その人影を追いかけ、
手首を強く掴んだ。
「遥……良かった。
私……」
「あ?お前誰。」
「え……。」
その人の顔を見上げると、
遥ではなく、1年生の間で問題児として目立っている不良の一人だった。
「あ、えと、間違えました……。
すいません。」
彼からパッと手を離した。
不良は私を軽くにらんでその場を去ろうとした。
「あ、あの!」
「ハァ……何?」
「遥……高梨遥也って知りませんか?
それか今日、陸上部で怪我してた人とかいませんでしたか?」
「高梨……?
知ってるけど怪我したかどうかはわかんねぇよ。」
「あの、じゃあ見かけませんでしたか!?」
「しつけーよ。」
不良は私のすがりつく手を逆に掴んだ。
「こんな時間に一人でいるとか、
無防備すぎんじゃね?」
「だって……遥……」
「お前高梨の彼女だろ?
結構可愛い顔してんじゃん。」
「ハ……?」
不良の手首を掴む力が強くなった。