君としてるのは恋じゃなくて。




「遥!」



その人影を追いかけ、
手首を強く掴んだ。



「遥……良かった。
私……」


「あ?お前誰。」


「え……。」



その人の顔を見上げると、

遥ではなく、1年生の間で問題児として目立っている不良の一人だった。



「あ、えと、間違えました……。
すいません。」



彼からパッと手を離した。


不良は私を軽くにらんでその場を去ろうとした。




「あ、あの!」


「ハァ……何?」


「遥……高梨遥也って知りませんか?

それか今日、陸上部で怪我してた人とかいませんでしたか?」


「高梨……?

知ってるけど怪我したかどうかはわかんねぇよ。」



「あの、じゃあ見かけませんでしたか!?」



「しつけーよ。」



不良は私のすがりつく手を逆に掴んだ。



「こんな時間に一人でいるとか、

無防備すぎんじゃね?」



「だって……遥……」



「お前高梨の彼女だろ?

結構可愛い顔してんじゃん。」



「ハ……?」



不良の手首を掴む力が強くなった。





< 141 / 262 >

この作品をシェア

pagetop