君としてるのは恋じゃなくて。
ほのかに芹から石鹸の香りがする。
「ちょ、いくらお前でも
俺は男だ。もうやめとけ。」
「遥……。
なんですずが好きなの?」
「ハ?なんでお前に言わなきゃなんねーんだよ……」
「私はとっくに遥が好きなのに……。」
ハァ……
またこれか……。
「俺もお前が好きだよ。
とにかく離せ。」
「違うよ。
もう柴崎くんよりずっと好きだもん。
遥の方が好き……。」
「え……」
コイツ……本気……?
まさか……。
潤んだ瞳で俺をまっすぐ見つめる芹。
「っ……」
こんなこと冗談で言うヤツじゃない。
「遥。
どうすれば遥のこと好きじゃなくなるかな。
遥にはすずとつきあってほしーのに……」
そのまぶたは少しずつ閉じていく。
「……幸せになってほしいの。
私じゃ……
遥のこと
幸せにできないよ……」
芹の目が閉じたとき、
その瞳から涙が流れた。