君としてるのは恋じゃなくて。
俺の服を掴んでいた芹の手は驚くほどあっさり外れた。
芹に布団を掛け、
部屋を後にする。
自分の部屋に戻ると、
さっきとはあまりにも違ううるささに
現実に戻ってきたような感じがした。
「おっ、おつかれー!
ずいぶん長くかかったねぇ!」
女子に冷やかされる。
「うっせ。そーいうんじゃねぇっつの。」
「お前、顔赤いぞ?」
斎藤に言われ、
自分の体が熱くなっていることに気付いた。
「気のせいだろ。」
「何やってたんだか……」
何も言わず、
斎藤の頭を再びひっぱたいた。
芹が俺を好き?
他の女に告白されたって別にどーってことないのに……。
俺はいまだに速い鼓動を
誰にも気づかれないように感じていた。