だいち、
「そんなわけないでしょ」
「素直じゃねーな、理沙は」
「うるさい!とっとと自分の家に戻りなさい!」
「はいはい。パピコ、ありがとな」
そう呆れたように笑って、部屋を出て行った。
「......」
その背中を最後まで見送ると、ベッドにもたれかかった。
そして数秒だけ、大地の笑顔を思い出していた。
時計の動く音が、部屋に小さく響いている。
その音を聞きながら、ふわふわとした感情に浸っていた。
家の玄関の開く音に、無意識に部屋の窓の外を見た。