だいち、
大地だ。
夏の風に吹かれて、ふわふわと揺れる大地の髪の毛に目を奪われていると、
ふいに振り返った大地が、あたしに対して手を振った。
「...」
咄嗟にあたしも手を振り返すと、満足したように、大地は隣の自分の家へと戻っていった。
「......」
どうして、振り返ったんだろう。
いや、でも子供の頃は、これが当たり前だったな。
ああ、懐かしい。
どこか胸がきゅんと苦しくなって、頬を撫でる風に泣きそうになった。