だいち、










大地だ。






夏の風に吹かれて、ふわふわと揺れる大地の髪の毛に目を奪われていると、

ふいに振り返った大地が、あたしに対して手を振った。




「...」




咄嗟にあたしも手を振り返すと、満足したように、大地は隣の自分の家へと戻っていった。





「......」




どうして、振り返ったんだろう。

いや、でも子供の頃は、これが当たり前だったな。





ああ、懐かしい。









どこか胸がきゅんと苦しくなって、頬を撫でる風に泣きそうになった。







< 13 / 89 >

この作品をシェア

pagetop