だいち、
「───ん」
ゆっくりと目を開けたら、まず見えたのは、暗くなった空だった。
小さな窓から吹き込む風は、相変わらず優しい。
いつの間にか寝ていたんだ、納得して、時間を確認する。
8時18分。
下の階からは、調理している音とテレビの音が聞こえる。
お母さんか。じゃあ、部屋のエアコンを消したのもお母さんだろう。
のそりと起き上がり、眠たい目をこすりながら下の階へ降りていく。
「おはよう理沙。あんた、エアコンつけっぱなしで寝てたら風邪ひくわよ」
「...んー」
「それにしてもよく寝るわねー本当」
「眠たいんだから仕方がないでしょ」
「そこでお願いなんだけど」
「......」
「醤油とお味噌買ってきて欲しいのよ」
「...やだ。もう外暗いじゃない」
「あんた、1日中何も手伝おうともしないでエアコンつけて、アイス食べて寝ての生活でしょ?少しは何か手伝ったらどうなの?」
「...」
「ほら、はい。行ってきて。いつものやつね」
「...はあ」
小銭を渡しながら強制的に家を追い出され、大きなため息をつく。