だいち、
全く、相変わらず勝手な奴だ。
すぐ近くの公園に向かい、ブランコに腰かけて小さく揺れる。
「......」
今年も帰って来た。大地が。
大地を見たら、夏だなあって改めて思う。
空はだんだんと暗くなってきて、さっき見た月も、今じゃはっきりと光り輝いて見える。
虫の声が木霊して、どこか寂しくなってきた。
「...大地」
名前をポツリと呟いてみる。
...ああ、もう、完全に諦められたんだ。
大地の名前を呼んだって、大地の姿を見たって、大地と話したって、前のような〝あの”感情はやってこない。
良かった。もう、モヤモヤしないで済む。