だいち、







昔はよく泣き虫で、あたしの前でよく泣いていた。

顔を見せないように俯かせながら、必死に声を殺して、肩を震わせながら。


その度にあたしが、大地の小さな背中を手で擦っていた。




まだ、あたしの方が背が高かった頃だ。





今となっては、もちろん、大地のほうが背が大きい。

午前中も、前を歩く大地の背中を見ながら、〝大きくなった”と感心していた。



......だけど、今の大地の背中は、昔と全く同じに小さく見える。





無意識に大地の隣に座り、その背中を擦りながら、ただひたすらにそう思っていた。





「...っ、...」


「......」








やっぱり、いつまで経っても、変わらないものは変わらないのね。





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