だいち、
...好きな人。
好きだった人。
「......違う」
もう、違う。
......アイツ、元気にしてるかな。
一人暮らし、ちゃんと出来てんのかな。
食事は...きっと大丈夫だろう。
昔から出来てたほうだし。
都会にはもう慣れたかな。
夜景が綺麗なんだろうなあ。
でも、人混みはキツそう。
アイツは人混みが嫌いだから。
あっちでは、星が見えるのかな。
こっちは田舎だから、夜になるとそこそこ見えるけど。
あっちも今、夏休みかな。
けどきっと、バイトとかで帰ってはこないんだろうなあ。
アイツのことを考えていると、いつの間にか家の前まで到着していた。
もう、考えるのはやめ。
心を入れ替えて、家のドアを開けようと手を出したとき。
懐かしい声が、あたしの鼓膜を微かに揺らした。