だいち、







「理沙?」



蝉の声がうるさくて、危うく聞き逃してしまいそうだった。


それでも聞こえたあたしの耳は、きっと賢い。

それにしても、この声は?



だけど、その疑問は次のたった一瞬で解消された。





「だ、いち...?」



驚いた。

たった今、あんたのことを考えてたから。




「おう!すげー久しぶり!俺のこと忘れてなかったんだなー」


「......え、な、なん...!?」



突然のことに、上手く喋れない。


「ぶっは、驚きすぎだろ!」


あはは、と笑った後、「やっぱ昔と変わんねーな!」と嬉しそうに言った。



懐かしい笑顔が、そこにあった。







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