だいち、
刹那の夜
「......」
手を握られたまま、どれだけ経ったのだろう。
きっと30分以上はこうしているだろう。
...いや、もしかしたら数10分だけかもしれない。
「...大地」
「ん?」
「......ありがとう」
「...」
「もう、帰ろう。寒くなって来たから」
「...大丈夫?」
「うん」
「...そっか」
立った同時に、すっと離れた温もりに名残惜しさを感じながらも、飲み終えた紙パックを公園のごみ箱に捨てて、袋片手に大地と歩き出した。
いつしか空は先程よりも少しだけ暗くなっていて、星もよく見えるようになってきた。
何度かすれ違うのは、犬の散歩をした人や、中学生や高校生たち。
あたしと大地は、なにも言葉を交わさなかった。