だいち、





───────...



「暑いけど我慢してね。今エアコン壊れてるから」


「おー。それにしても、理沙の部屋、昔のまんまだなー」




部屋の中を見渡しながら、先程買ってきたばかりのパピコを美味しそうに食べる大地。



「まあね」



そっけなく答えると、


「そんなトコも変わってねーのな」


と笑った。


「てゆーか、大地、一人暮らし上手くいってるの?」


「まあまあ。バイトしてんだけど、そこの店長さんもいい人だし」


「ふーん...」


「一週間、店休みだから、こっちに帰ってきたんだよ」


「あっそ」


「理沙は?大学、どう?」


「友達も出来たし、いい感じ。授業は相変わらずついていけてないけど」


「単位とれてんのか?」


「さあねー。夏休み前は休み多かったし」


「あー...夏だもんなあ」


「......」


「中学のときみたいにぶっ倒れんなよ」


「大丈夫よ」




夏になると、身体のバランスを崩しやすくなる。

大地は、そんなあたしを馬鹿みたいに心配してた。


子供を卒業出来てないお母さんみたいな。




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