キミのいない世界
「おーい、鈴ー?」


「へ!?あ、うぁあ!!」


マイワールドから現実に戻され、その驚きで椅子から落ちそうになる。


「うおっ!?」


祐くんが珍しく驚いた声をあげた。


「びびびびっくりしたあ…」


「ビビりすぎだっての」


祐くんはあきれたように言ってから、


「ほら、帰るぞ」


と言って、あたしの手を掴んだ。


「え!?ちょっと、あの~…手…」


「…っ!?」


祐くんは今気づいたというような顔をして、バッと手を離した。


「わりぃ」


そう言ってそっぽを向いた祐くんの顔は、少し赤くなってるように見えた。


「祐くん」


「…んだよ」


「顔…赤いよ?熱あるんじゃ…」


「ねえよ!ほっとけ…」


なんか機嫌悪くなっちゃった?


でも、歩く早さをあたしに合わせてくれているところが、優しいなと思った。


あたしは今日、祐くんのことを、さらに好きになりました。


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