キミのいない世界
次の日。


あたしはいつもよりご機嫌。


学校に向かう途中のあたしの両側には、祐くんと玲音。


この二人がなんと…喧嘩をしていないのです!


「姉ちゃん、今日はご機嫌だな?」


「だって喧嘩しない玲音と祐くんなんてレアだもん!」


「…可愛い」


は?誰が?


と聞こうと思ったが、玲音の顔を見て、とても聞けない気がした。


玲音の目が真っ直ぐに、あたしの目を見ていた。


ブラコンじゃないけど、一瞬、玲音のことがかっこいいと思ってしまった。


「…行くぞ鈴」


そう言ってあたしの腕を掴んだのは、祐くんだった。


「何あれー!うらやましぃー!」


「私もああやって引っ張られたい!」


という声も聞こえてきた。


でも、その視線は凄く鋭くて。


痛くて、怖くて。


気がついたらあたしは、祐くんの手を振り払っていた。


「…どうした、鈴?」


「…あ…ごめっ…なんか、怖くて…」


気付いたら、涙が流れてて。


「…怖いって何が…」


「祐兄、鈴を泣かせたな?」


「違うの!これはあたしが勝手に…」


玲音が、あたしを引き寄せる。


すると、周りの視線は更に鋭くなった。


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