キミのいない世界
「どうしたんだよ?」


祐くんが聞いてきて、あたしは足を止める。


「祐くんは…知らないんだよ。女が…怖いってこと」


女の子は、かっこいい人の前ではみんないいこぶっていて。


その裏に隠れている本性は、大きな過ちを犯す。


あたしは、そんな醜い女をたくさん見てきた。


何回か、殺されかけた。


「…俺だって、知ってる。恋する乙女の怖さくらい…。俺も、殺されかけたから」


「え……」


祐くんが殺されかけた?


女に?


そんな、あり得ない!


祐くんを恨む女なんていないはず!


「本多優衣って覚えてるか?」


優衣……。


中学の時の、親友……


「あいつ、鈴のことが好きだったんだよ。あの目はたぶん、本気だった」


優衣には、何回か恋の相談もしたっけ。


じゃあ、あたしの好きな人、祐くんを恨んでてもおかしくない……。


< 22 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop