キミのいない世界
「持つよ」


そう言って玲音は、あたしの鞄を取ろうとした。


「ありがと。でもいいよ。今日は軽いし」


「そっか」


と、二人で話していると、向かいの家から同じ学校の生徒が出てきた。


「あ、おはよー!」


「…はよ」


素っ気なく返事をしたこのイケメンが、あたしの幼なじみ、坂本祐樹。


「祐くん、今日からあたしたち高校生だね!」


こんな他愛も無い会話なのに、心臓がドキドキと破裂しそうな勢いで脈打っている。


あたしの隣には不機嫌そうな玲音。


それを見て祐くんは、玲音を睨みつけた。


ていうか、なんで睨み合ってんの?


怖いんですけど…。


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