キミのいない世界
「ねえ、キミ、かわいいじゃん。今日の放課後空いてる?」


と、知らない男子生徒に声をかけられた。


「あの…あたし…ですか?」


「キミ以外に誰がいるのさ?面白い子」


その人は、必死に笑いをこらえている様子だった。


ちょ、失礼じゃない?


と言いたかったが、我慢した。


「あの、今日は…」


「空いてねえよ」


あたしの言葉に被せるように、祐くんが言った。


「こいつ、弟と帰ってその後は俺と約束があるから。諦めろ」


「え…」


「ちっ…彼氏持ちかよ」


いやいや、玲音と帰るのは本当だけど、祐くんとは約束なんてしてないし。


まあ、助けてくれたのかな?感謝しなきゃ。


「行くぞ」


「え、ちょっと、あたしまだ…」


「Aだよ。松本も智樹も」


そっか。


見てきてくれたんだ。


やっぱり、祐くんは優しいな。


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