最悪から最愛へ
犬猿の仲
「どうしてですか?絶対に満足してもらえるのに!」


「だめだ!そんな目先だけの満足では、売上に繋がらないんだよ。案を出すなら、もっと合理的なのを出せよ」


「だから、満足してもらえれば、また来てくれてですね、」


「あ、やばい。会議の時間に遅れる。その話は終わりな」


「え、ちょっと!店長!」


強制終了。敵がいなくては、どうにもならない。

紺野渚(こんのなぎさ)は、このラックスストア朝日町店の店長である青田峻(あおたしゅん)がさっきまで座っていた椅子を見て、溜め息をつく。


決して広いとはいえない…どちらかいえば狭い店長室は、デスクと椅子しかない。デスクの上にはノートパソコンと店内のレジ付近を映すモニターがあるだけだ。


渚はその椅子に座って、モニターを眺めながら、入社当時を思い出す。

渚が入社したのは、10年前である。
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