最悪から最愛へ
「おやすみ。そっちで寝ろ」


「え?店長は?私がこっちで寝ます」


渚はソファーにあったタオルケットをどかして、そこに寝転ぼうとする。


「は?俺がここ。お前は、あっちだ」


峻は、渚の持つタオルケットを奪い取って、ベッドルームを指差す。


「いえ、私がこっちです。店長はあちらへどうぞ」


なぜかソファーを取り合う二人。それほど寝心地の良くなさそうなソファーにどんな魅力があるのだろう。


「せっかくベッドを譲ってやってるんだから、有り難く寝ろよ」


「譲ってくれなくて結構です。私は寝かせてもらう立場ですから、ソファーでいいです」


言い合い始めたら、お互いに引くことはしない。


「本当にかわいくないな。言っておくけど、このソファーは座り心地にこだわって買ったものだ。だから、ここで寝ることもよくあって、俺の大事なソファーだ」


「はあ…」
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