最悪から最愛へ
渚は、峻の様子が気になって、そっと戻ってきたのだった。

寝たと思った渚が突然現れて、一緒に寝ようと誘ってきた。峻は、一瞬動揺したが、平然とした表情を見せる。


「一緒に寝るって、どういう意味で言ってるか分かってるのか?抱かれたいのか?誘ってる?」


「え?いえ!そういう意味じゃなくて…えっと…」


誤解されたことに言葉を詰まらせる渚は、髪を落ち着きなく触る。そんな渚の前に峻が立つ。


「俺も男だよ?男をベッドに誘うにはそれなりの覚悟をしているんだよな?」


渚の顎に手を置いて、顔を上に向かせる。二人の視線がぶつかる。

逸らせない。逸らさない。


見つめ会うこと、10秒。長い時間ではないけど、この状況から逃れたいなら、逃げれる時間だ。

峻がまばたきさえもしない渚に顔を近づける。唇が触れる距離まで近付く瞬間…


プイッ…

チュッ…
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