最悪から最愛へ
「ほら、紺野も寝ろよ。何もしないように一応努力はするから」


峻が壁の方を向いたので、渚は空いた部分に寝る。

そして、二人は背中合わせで、眠った。



背中合わせで、寝たはずなのに…


パチッ


自分の手が触れている部分から伝わる熱が何かと寝覚めて、気付いた渚は、目の前にある峻の顔に目を見開いた。

背中合わせではなく、向き合って…しかも抱き合う形となっていたから、驚くのも当然だ。あり得ない…離れなければ…


しかし、渚が触れるよりも渚に触れている峻の力は意外と強くて、すんなりと離れない。


「て、店長…ちょっと…」


離れてもらうには、起こすしかない。


「んー」


峻は自分を呼ぶ声が聞こえて、ゆっくりと目を開ける。そして、渚と同じように驚く。峻にとっても思いもよらない形だったのだ。


「あの、離してくれませんか…」


驚くのは分かるけど、まず離れて欲しい。
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