最悪から最愛へ
安易に頷けない母親は、メロンと男の子を見比べる。


「じゃあ、今日はお菓子を買わないよ。それでもいい?」


「えー?」


お目当てのお菓子があったのだろう。男の子は、メロンをじっと眺めて、考え込んだ。


「うん!メロンがいい!」


割と早くに決断をする。


「ありがとうございます!もう食べ頃だから、冷やして食べてね」


小田は腰を落として、目線を男の子の高さに合わせた。男の子は、念願のメロンを手に入れられたので、軽い足取りで進んでいく。


「かわいい男の子だね」


「おお、紺野。これから?ああいう笑顔を見れるとこっちも嬉しくなるし、癒されるよな」


出勤してきたばかりの渚は、レジに入る前に特売品などをチェックしながら、店内を歩いていた。


「うんうん、子供の笑顔には癒されるよねー。今日、店長いるんだっけ?」


「露骨に嫌な顔をするなよ」


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