最悪から最愛へ
「アハハ。寝なければいいことだろ?」


「そうですけど、あまり自信がなくて」


「アハハ。絶対に寝るなよ。マジで叩くから」


峻はまた渚の頭を軽く叩いた。


「またー。やめてくださいよー」


気まずかった雰囲気が和やかな雰囲気に変わっていく。目を合わせて、二人は笑う。珍しいことである。


峻が見たかった映画は意外にも恋愛映画だった。


「これ…見るんですか?」


渚はアクション映画だと思っていたので、渡されたチケットを見て驚く。


「そうだよ。あの俳優が好きなんだよ」


「あー、かっこいいですものね。え?店長、まさか、男に興味が…」


「ないよ。好きな俳優がいてもおかしいことではないだろ?紺野だって、好きな女優とかいるだろ?」


渚は峻からチケットを受け取り、頷く。


「あー、なるほど。そういう意味なんですね」


同感できる理由だ。
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