最悪から最愛へ
抱きたい理由はいたって単純明快だった。峻は、いつの間にか渚を好きになっていて、その気持ちに気付いたのだった。


「うそ…私をからかっているのですか?バカにして…」


峻の気持ちは渚にとって、信じがたいものだったから、峻の告白を素直に受け入れることが出来ない。


「嘘じゃない。本気で好きなんだけど。もちろんバカになんてしてない」


「やりたいからって、そんな嘘をつくなんて最低ですよ」


「やりたいって、言っているんじゃない。抱きたいって言ってるんだ」


「え?…」


やりたいと抱きたいの持つ意味は同じだと渚は、思っていた。それを違うと言われ、頭が混乱する。


「やりたいだと誰でもいいみたいだろ?俺は渚が好きだから、抱きたいんだよ。分かるか?」


分かりやすいようでいて、分かりにくい説明である。渚は必死で頭の中を整理する。
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