最悪から最愛へ

「冗談じゃない。俺がどれだけ我慢していると思ってるんだよ」


渚がその気になるまで待つつもりだったが、気長に待っていられない状況になりつつある。のんびりしているうちにあっさりと本気でない男に奪われるなんて、峻のプライドが許さない。

真面目な渚がそんな軽い誘いに乗るとは思わないが、万が一ということもあり、峻の心は穏やかでなくなってくる。

大人の余裕なんて、どこにもない。取られまいと必死になる。


「はい？どういうことですか？店長が我慢？店長、まさかの欲求不満ですか？」


「俺はお前みたいにやれれば誰でもいいというわけではない。紺野だけだよ」


渚だけ…ここの部分は渚に分かってもらおうと渚に向けて言った。

渚は、そんな峻の真剣な眼差しを受け止めることが出来なくて逸らす。


「あれ？でも、チーフは店長を断ってるってこと？あー！嫌ってますものね。店長のこと…」