最悪から最愛へ
なんでこんなところで緊張しないとならないのよ…


「店長です」


苦渋の選択だ。田中くんを選んで、年下男の浮気相手にされたくない。渚にだって、女としてのプライドはある。

今、恋人がいないから欲求不満だなんて思われたくない。

しかし、峻を選択したのは正しかったのだろうか。目の前に座る峻をチラリと見る。


「だそうだ。諦めるのは田中の方だよ。浮気なんてバカなことを考えないで、大人しく彼女の帰りを待つことだな」


「あーあ、結局店長を選ぶんですね。はいはい、分かりましたよ」


今だけの浮気相手に選んだだけだから、振られても未練なんて1つもない。田中くんはあっさりと身を引いた。

身を引いた田中くんは早々と退散する。支払いはしないで…。


「帰るか。俺は渚に選ばれたわけだから、何してもいいんだよな?」


「何をしてもいいなんて、言ってません」

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