最悪から最愛へ
「帰したくないんだけど。帰るなら同じ場所にしろよ」


「え?同じ…場所…ですか?」


「そう、俺の家なんかどう?」


「そんなこと言われても…」


行きますなんて、答えられない。行ったら、何されるか想像できるから。


「ホテルでもいいよ…」


「え?それは…もっと…困ります」


それこそ行くと行ったら、承諾したことになる。渚が困る様子を見る峻は、楽しそうだ。けれど、ただ楽しんでいるだけではない。かなり本気だ。


「好きだよ、渚」


「こち…あ、失礼しました!も、申し訳ございません」


空いた皿を片付けようと来た店員が告白現場に遭遇して、慌てて去っていく。


こんな場を見られて、渚の体温は上がる。峻は変わらないようだが。


「こんなところで…恥ずかしいです」


「なら、俺の家に来いよ。二人だけなら恥ずかしくないだろ」


どこまでも強引だ。

< 158 / 236 >

この作品をシェア

pagetop