最悪から最愛へ
「行かない…」


「は?」


「行きません!」


峻の言葉に流されまいとした考えた結果は拒否である。


「それは、どういう意味で取ればいい?今日はダメだけど、今度なら…と思ってもいい?あとどのくらい待てばいい?」


行かないと言われたからと簡単に引き下がらない。峻には、渚を手に入れる自信があるのだ。焦らされるのも悪くないけど、呑気にただ待つのは嫌だから、とりあえずでも約束が欲しい。


「え?あの…とにかく今日はダメです。私は自分の家に帰ります」


今度もダメだと言い切れない渚は、峻の質問にはっきりと答えることが出来ない。曖昧に答えてしまう。


「分かった。じゃ、タクシーで送るよ。同じ方面なんだから、拒否するなよ」


もう電車は走っていない。同じ方面なら一緒に帰るのが経済的である。

二人は同じタクシーに乗り、それぞれの家に帰った。

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