最悪から最愛へ
峻は自分の隣にある椅子を叩く。


「ここですか?」


「そう」


嫌とは言わせない威圧的な態度だ。渚は、指示されたから大人しく隣に座る。

何となく緊張する渚は両手を膝の上で重ねて、力を入れる。


「あの、確認したいことって…」


「ちゃんと俺のことを考えているのか確認しておこうかと思ってね」


「はい?その確認ですか?」


仕事とは関係のないことの確認に渚は唖然とする。何か重要なことがあるのかと考えていたから、意外な話に力が抜ける。


「そうだよ。どうなの?」


「一応考えていますよ」


「一応?どんなふうに?具体的に言って」


仕事の話ではないのに、仕事のことを聞くような話し方だ。こんなふうに聞かれると渚はつい戦闘モードになってしまう。


「具体的に言えることではないです。まだ考えている途中だから待ってください」
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