最悪から最愛へ
訂正するために渚は顔をあげてしまった。峻はそのチャンスを逃さない。

渚の唇に自分の唇を近づけた。触れ合うほどの距離で止まる。


「好きだよ」


熱い息が渚の唇に伝わる。

コクン…魔法にかかったかのように、首を縦に振る。渚の頷きは熱いキスの開始合図となる。


二人の体温はどこまで上がるのだろうか。

峻は渚の唇を満足するまで味わう。渚は、それを優しく受け止める。


強引ではない優しく熱いキスに渚の体の力が抜けていく。


「ふぅ…」


とりあえず満足した峻の唇が離れる。渚の唇は光っている。そこに峻の親指が触れる。


「もう一回する?」


虚ろな瞳を見せる渚は返事をしないで、自分からキスをした。

思いがけない渚からのキスに峻の目は見開かれたが、すぐに細い目に変わる。渚の髪をゆっくりと撫でた…


愛しい…そんな言葉がぴったりな動きだ。

長い長いキス。この先はどうする?

峻はキスだけでは足りなかった。



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