最悪から最愛へ
しかし、独りよがりではいけない。渚の気持ちを優先させたい。

峻の肩に頭を預ける渚の背中をそっとさする。

気持ちの良いキスの余韻を味わっているのか、渚は目を閉じていた。


「渚、これからどうする?どうしたい?俺は続きを期待してるけど」


峻の期待を分かってくれるだろうか。


「続き…ですか?」


「そう。なんか思いが通じあった気がするんだけど」


キスを受け入れた渚は、峻の想いを受け入れたことになる。この状況では誰もが思うことだ。

きっと渚だって…

峻は渚の答えに期待を膨らませる。欲しい答えをくれるはずだと。


渚は、顔を上げて峻を見る。確かにキスを受け入れた。峻の想いを受け取った。でも、本当に受け入れた?

続きの意味は分かる。でも、自分の気持ちが分からない。嫌いな男を好きになるなんて、信じられないから。

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