最悪から最愛へ
店内に入ってすぐにあるのは、青果コーナー。オレンジを箱から出して、並べている小田が渚に気付く。


「うん」


「休みの日にわざわざ来るなんて、愛社精神?さすがだな」


「そうじゃないよ。友だちの家から一番近いスーパーがここだから」


「渚、うちでオレンジジュースを飲んでいかない?」


江梨子は山積みされているオレンジの中から20個選んで、バスケットに入れる。


「あ、うん。飲む、飲む。え?そんなに買うの?」


たくさん買ってくれるのは、店の売上になるから嬉しいが、量の多さに目を丸くする。


「うん。最近、オレンジジュースにはまっているのよ。だから、20個くらいすぐに終わっちゃうの」


「大変ありがたい良いお客さまですね。毎度ありがとうございます!」


自分の担当商品が売れるのは、嬉しいから、小田は姿勢を正して、丁寧に頭を下げる。

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