最悪から最愛へ
ウギャー、ウギャー…


顔が赤くなり、赤ちゃんは泣き出した。


「えー、ちょっと、何で泣くの?江梨子ー、どうしたらいいの?」


「あー、はいはい。待って」


紅茶を入れようとキッチンに行った江梨子が戻ってきて、赤ちゃんを抱く。


「んー、オムツかな」


ベビーベッドに寝かせて、素早くオムツを交換する。


「あ、泣き止んだ。オムツだったのね。よく分かるねー」


「うん。泣くとこでしか意思表示が出来ないからね」


「でも、ただ泣くだけで分かりにくいのに、すごいね」


気持ちよくなり、ご機嫌になった赤ちゃんの頬を人差し指でつつく。


「そんなことないわよ。お腹が空いたとかお尻が気持ち悪いとか、感じることを素直に伝えてくれるのよ。今の渚よりもずっと分かりやすいからね」


「えー、そんな…」


感じることをそのまま伝える。大人になると簡単なようで難しくもなることだ。考え過ぎてしまうのがよくない。






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