最悪から最愛へ
「渚が感じたままを店長さんに伝えたらいいと思うよ。素直になって、ありのままの渚を受け止めてもらいなさいよ」


「ありのままの私?」


「そうそう」


自分を隠しているつもりはなかったけど、江梨子に指摘されて、隠しているというか、抑えている気持ちがあることに改めて気付く。


「でも…」


「でもじゃないよ。店長さん、待っているんでしょ?良い返事聞かせてあげたら喜ぶよ」


「そうかな…」


喜ぶ?あの店長が?どんな顔して…

峻の喜ぶ顔が想像出来なかった。だけど、喜ぶ顔を見てみたいと思った。


「渚が迷ってしまう理由は、雄介くんのことがあるから?」


「もう忘れてるつもりなんだけどね」


3年前に別れた雄介とは5年も交際していたから、その先に結婚というゴールがあるのを当たり前のように信じていた。


「雄介くん、二人目が2ヶ月後に産まれるらしいよ」
< 173 / 236 >

この作品をシェア

pagetop