最悪から最愛へ
「お疲れさまでした。紺野は店長が送りますよね?紺野、素直になれよ」


山口が帰ってしまえば、ファミレスに長々といる用事はない。

残った3人も出た。小田は峻に渚を任せて、早々と帰っていく。

峻は、渚を車に乗るよう促した。


素直になれよ…

小田のアドバイスが渚の胸に引っ掛かる。意地っ張りになっているつもりはない。ただ自分の気持ちが分からないだけだ。


ありのままで…

江梨子に言われた言葉も思い出す。自分を隠しているつもりもないけど、躊躇している部分はある。


「渚?どうした?早く乗って」


車のドアを開けたのに乗ろうとしない渚に峻は、何事かと心配になる。


「あ、はい。すみません…」


「いや、別に謝らなくてもいいけど、疲れた?風呂入って、ゆっくり休めよ」


本当に最近の峻は優しい。


「ありがとうございます」


だから、渚も素直にお礼の言葉が出る。


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