最悪から最愛へ
「もうあの客が絡むことはなさそうだろうから、安心だな」


「はい」


「また変な客が来たら、すぐに報告しろよ」


危ない客がこの先来ないなんて保証はない。峻は、自分の仕事なんてしないでずっと渚のそばで見守りたい気分だ。

いつの間に、そんなにも渚を好きになっていたのだろう。隣に座る渚がとても愛しくて、触りたくなり、手を伸ばす。


「店長…、今日はありがとうございました」


渚が自分の方に顔を向けたので、峻の手は止まった。


「ん?何のお礼?」


「え?何のって…いろいろと…えっと、山口さんから守ってくれて」


「何のために守ったか分かるよな?」


渚は頷く。

渚が好きだから、渚が大事だから。

峻の気持ちは渚に充分伝わっていた。


素直に…

「嬉しかったです。私にも守ってくれる人がいるんだって」


「ずっと守るよ。ずっとそばで守ってもいい?」
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